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NMNとメラトニンで心不全を改善できる?ラット実験の結果を紹介します。

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がんに次ぐ深刻な病 ”心不全”

心不全は、高齢者のが抱える深刻な病気です。

2012年以降、毎年1万人ペースで増え続けており、現在は120万人の患者がいるとされています。

心不全の割合は、男性が53%で平均年齢が75歳、女性が47%で平均年齢が81歳。
高齢者の病気というイメージが強いですが、最近は40~50代の比較的若い年代の患者も増加しています。
引用:みんなの介護「心不全患者が毎年1万人増加と判明!高齢化がもたらす心不全パンデミックで2030年には発症者130万人に!」

原因は高血圧。
ストレスや生活習慣の影響により高血圧となる人がこの年代で増えているのが原因のようです。

心不全というと心臓発作などが思い浮かびますが、これは心不全により起きる症状の1例でしかありません。

心不全は心臓のポンプ機能(全身に血液を送り出す機能)がうまく働かず、全身の血液の循環が滞ってしまう状態のことを言います。

軽度の心不全では息切れや疲れやすさなどの症状が現れ、悪化すると心筋梗塞など命に関わる問題を引き起こします。

重度の心不全はがんと並んで死亡率が高く、感知の難しい難病です。

出典:日本心臓財団 2018年10月15日時点

比較的軽度のものであって5~10%が1年以内に死亡すると言われ、日本では毎年約37万人ががんで、約20万人が心疾患で亡くなっています。

軽度の心不全だと無自覚な人も多く、知らないうちに心臓の状態が悪化して、気が付いたときには手遅れ。
という人たちも大勢います。

心不全は、永く健康な人生を送る上で意識的に予防をすべき問題です。

NMNとメラトニンにより、心不全を改善できる可能性がある!

そもそも、心不全の原因は何でしょう?

それは、虚血(心臓に血が足りていない状態)から再灌流(心臓に血が流れ込む)した際に発生する、心臓の損傷(I/R損傷)です。

虚血の主な原因は動脈硬化による血流の悪化であり、動脈硬化で破壊された血管壁の破片が再灌流で心臓に流れ込み、心臓の微小血管を傷つけるのです。

 

メラトニンとは? 心臓保護作用をもつ物質!

メラトニンと言うと、不眠症や睡眠の質改善のためのサプリメントなどに利用される物質です。

脳内でも生成されるホルモンですが、抗酸化作用抗炎症作用を持つことで知られています。
他にも、生命維持のに必要なエネルギーを生み出すミトコンドリアの活動も活性化することができます。

心不全患者はメラトニンの血中濃度が低下することが過去の研究で分かったことから、メラトニンが心不全の改善につながる可能性は示唆されていました。

しかし、本当にメラトニンを摂取することで心不全が改善するかは、まだ分かっていません。

同じく、ミトコンドリアの活性化するNMN

NMNによって体内で生成するNAD+も、ミトコンドリアを活性化することが研究で明らかになっています。
参考記事:NMNサプリの若返り効果って?科学的な見地から分り易く解説

NAD+には細胞の老化を食い止めたり、ミトコンドリアを活性化することから、老化の症状を防ぐ”若返り効果”を期待されています。

ラット実験で、NMNとメラトニンにより心不全を改善が確認された!

「メラトニンとNMNを組み合わせると、心不全を改善できるかもしれない。」

そう考えた研究チームが、ラットで実験を行いました。

参考文献:J Cardiovasc Pharmacol Ther . 2020 May. Leila Hosseini

[実験の内容]
1. 高齢の雄ラットに28日間、毎日NMN、メラトニン、NMNとメラトニンを組み合わせた薬剤を与える。
2. 1のラットと、何も与えなかったラットから心臓を摘出し、人為的に心臓にI/R損傷をつける。
3. ランゲンドルフ装置(人為的にラットの心臓の血流を起こす装置)を使い、心臓の血液を送り出す能力を調べた

縦軸のLVEDP(左心房拡張末期圧)が高いほど、血流を送り出す力が弱い。
Shamは心臓の損傷を与えなかった健康な個体。Controlは何も与えず心臓の損傷を与えた個体。
MelaとNMNはそれぞれメラトニンとNMNを与えた個体。

 

実験の結果、NMNとメラトニンの両方を与えた個体(上図の緑色の線)だと、心臓に損傷の無い健康個体(上図の紫色の線)に一番近い結果となりました。

NMNとメラトニンを組み合わせることで、それらを単体で与えた場合と比べても高い心不全の改善効果が確認されたということになります。

 

NMNとメラトニンを組み合わせることで、どのようなメカニズムによって心不全が改善されるかは、まだ分かっていません。

今後の追加研究がすでに進められています。

 

また、この実験はあくまでラットを対象としたものであり、人間もメラトニンとNMNの同時摂取によって心不全を改善できる。という結論は出ていません

しかし、NMNとメラトニンの複合薬が、難病である心不全に対する貴重な治癒薬になる未来がくるかもしれません。

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