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ぽっと出の成分じゃない!100年以上さかのぼる、NMN研究の歴史

最近、よく名前を聞くようになったニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)。

日本では、2015年にNHKスペシャル『ネクストワールド 私たちの未来』で”若返り薬”として紹介されたのをきっかけ認知が広まりました。

「ネクストワールド 私たちの未来 第2回 寿命はどこまで延びるのか」より

また、2019年の世界的ベストセラー「LIFE SPAN-老いなき世界-」という本で紹介されたことで、さらに認知が加速します。

デビッド・A・シンクレア著 「LIFE SPAN 老いなき世界」

 

実業家のホリエモンこと堀江貴文氏がNMNサプリメントを開発したことでも知られていますね。

そんなNMNですが、いつ頃から研究が始まったのでしょう?

ぽっと出の流行り物なのか、積み上げた研究の賜物なのか。

今回はNMN研究の歴史を調べてみました。

目次

NMNから体内で生成される(とされている)NAD+という老化防止酵素について

NMNの歴史を調べるに当たって、大事なのがNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という成分。

NAD+は人間なら誰しも持っている、細胞が機能し生命を維持するのに必須な酵素です。
NAD+が関与しない生物学的プロセスは存在しないと言われるほど。

「老い」とは細胞に含まれるDNAが消耗することで起きる現象。
NAD+は消耗したDNAの修復を助ける働きをします。

NAD+による損傷したDNAの修復イメージ(参照:BPS Bioscience.com “NAMPT: Metabolism, Cancer, and Drug Discovery”

 

問題は、年を取るとこのNAD+が減っていく事。
若いうちはNAD+が豊富なのでDNAが消耗してもすぐ修復でき、若さを維持できます。

しかし、年を取るとNAD+の減少によって修復が送れ、結果として「老化」が起きるのです。

 

NMNが「若返り薬」と言われるのは、体内でNAD+に変換されるとされているから

NMN研究の歴史は、このNAD+研究の歴史を密接にかかわっています。

 

NMN研究の歴史。始まりは1906年から

 

1906年
イギリスの科学者アーサー・ハーデンとウィリアム・ジョン・ヤングが、砂糖からアルコールが生成される「アルコール発酵」の過程で、NAD+が作用していることを発見。

1929年
ハーデンは、ドイツの科学者ハンス・フォン・オイラー=チェルピンとともにアルコール発酵の謎を解き明かす。
アルコール発酵のプロセス、そしてNAD+の化学的な形状や特性などを解明したことで、ノーベル化学賞を受賞する。

1930年代
ノーベル化学賞の受賞者であるドイツの科学者オットー・ワールブルクが中心となり、NAD+は多くの生化学反応に関わっていることを発見した。
※NAD+は、生化学反応を進めるために必要な電子の移動に重要や役割を持っている。

1937年
ウィスコンシン大学のコンラッド・エルヴェージェムらは、ペラグラ(栄養失調の一種)や「黒毛舌」の犬がNAD +サプリメントにより治癒したことを発見した。
※人間の場合、ペラグラは下痢、認知症、口の痛みなど、さまざまな症状を引き起こす。現在、NMNの前駆体の1つであるニコチンアミドで治療されている。

1940~50年代
アメリカの生化学者アーサー・コーンバーグのNAD+の研究が、生命に不可欠なプロセスである「DNA複製」と「RNA転写」の原理の発見に貢献した。

1958年
ジャック・プライスとフィリップ・ハンドラーは、ニコチンアミドがNAD+に変換される3つの生化学的ステップを明らかにした。

1963年
シャンボン、ヴァイル、マンデルは、NMNが重要な核酵素を活性化するために必要なエネルギーを供給していると報告しました。
この発見は、PARPと呼ばれるタンパク質に関する重要な発見への道を開いた。
※PARPは、DNA損傷の修復と細胞死の調節に重要な役割を果たす。このたんぱく質が寿命に大きく関連している。

1976年
レヒシュタイナーと彼の同僚は、NAD +がエネルギー伝達分子としてのみではなく、哺乳類の細胞において”別の主要な役割”を持っている可能性が高いという、説得力のある証拠を発見した。

この発見を基に、アメリカの生物学者でマサチューセッツ工科大学の生物学教授レオナルドガレンテと彼の同僚は、サーチュインと呼ばれるタンパク質がNADを使用して遺伝子を選択的に”サイレント状態”に保ち、寿命を延ばすことを発見した。

この発見以降、NAD+とその中間体であるNMNとNRは、加齢に伴う多くの健康問題を改善する可能性があるた考えられ、広く研究されるようになる。

 

NMN研究は70年以上の積み重ねを経て、”若返り効果”が期待されるようになった

NMNから変換されるNAD+の研究は100年以上も前の1906年ころから。
NMNは1960年代には寿命を延ばすのに関与しているのではと考えられられるようになったんですね。

NMNの”若返り効果”については、ここ最近のぽっと出の研究ではなく70年以上の歴史があります。

NMNサプリが人体に”若返り”をもたらしてくれるかどうか、まだはっきりとは解明していません。
これまでの長い研究の成果が結びつくのを、今後も見守りたいと思います。

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