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NMNとよく似た物質、NRとは?分かりやすく解説します

NMNは体内に入ると、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD +)という物質が生成します。

このNAD+は生命維持に必須な成分であり、高齢になると体内のNAD+量が減少して、”老化”します。

NMNサプリメントは、NAD+を効率よく供給して”若返り”をもたらすと考えら、研究者やサプリメントメーカーから注目されているわけですね。

★こちらの記事もご参照ください
NMNから生成される”長寿遺伝子”NAD+とは?分かりやすく解説します

 

つまりNMNはNAD+の前駆体(体内で生成する前段階の物質)なのですが、NMN以外にもNAD+の前駆体があります。

それは、ニコチンアミドリボシドクロライド(NR)という物質です。

では、NMNとNRの違いは何でしょう?

論文をリサーチし、まとめてみました。

目次

NAD+の前駆体、NMNとNRの違い

上記にNMNとNRの似ている点、異なる点をまとめました。

まず、どちらもNAD+を生成し、人体に安全であるという点は変わりありません。
どちらもサプリメントなど健康目的の摂取が成立しうるということですね。

NMNは1日500㎎まで、人間の体内で安全に代謝されることが慶応大学によって2020年に発表されました。
参考文献:Endocr J . 2020 Feb 28. Junichiro Irie

またNRは、健康な成人男性・女性に8週間、1階の最大で1000㎎投与しても、副作用もなく安全上問題なかったという実験結果が2019年に報告されました。
参考文献:Sci Rep . 2019 Jul 5. Dietrich Conze

 

一方でNMNとNRの異なる点ですが、NAD+を生成する過程が違います。

NMNはNAD+の直前の前駆体ですが、NRは2段階前の前駆体です。
一度NRからNMNに変換され、それからNAD+を生成します。

NRとNMNのNAD+生成サイクル

 

NAD+の直前の前駆体、NMNの方が効率よくNAD+を生成できる?→大きいサイズがネックになる

この事実だけ見れば、NMNを摂取した方が効率よくNAD+を生成できそうに思えます。

 

しかし、そうもいかない問題があります。

構造式を比較しても分かる通り、NRよりもNMNの方がサイズが大きくなります。

そのため、研究者の間ではNMNは大きすぎるため細胞膜を通過できず、NMNをサプリメントなどで摂取しても細胞内でNAD+を生成することはできないと考えられていました。

NMNが細胞内でNAD+を生成するためには、一度NRに変換され、細胞内に入ってからもう一度NMNとなり、NAD+を生成するという二度手間の過程が必要となります。

 

このような事情から、NRを摂取したほうが効果的にNAD+を生成できるという説が信じられていました。

実際、NRを摂取することで哺乳類の体内に存在するNAD+の量を最大で270%に増加させるという事を明らかにした研究もあります。
参考文献:J Med Chem . 2007 Dec 27. Tianle Yang

 

簡単に細胞内に入れるNRの方が効率よくNAD+を生成できる?→NMNを短時間で細胞内に運ぶ運搬物質が体内に存在する

ここまで聞くと、今度はNRの方がサプリメントとして適しているように思われます。
しかし、まだ続きがあります。

2019年にワシントン大学で行われた実験では、マウスの体内にはNMNを細胞膜に通過させて、細胞内へと運ぶトランスポーター(運搬物質)が存在することを示しました。

この実験では、マウスにNMNを与えたところ、60分後には体内のNAD+量が増加したことが確認されています。

参考文献:Nat Metab. 2019 Jan; Alessia Grozio

本来は細胞膜を通過できないNMNが、トランスポーターによって短時間で細胞膜を通過し、その結果60分という短時間でNAD+が生成されたというのが研究チームの予想です。

 

そして、ゲノム(遺伝子)解析によって、人間の体内にもこのトランスポーターが存在する可能性があることが分かりました。

そのため、人間においてもNMNを摂取することで短時間でNAD+が生成される可能性があります。

ただし、人間に対する同様の臨床試験はまだ報告されていないので、マウスと同じようにNMNがトランスポーターによって細胞内に運ばれるかは明らかになっていません。

 

結局、サプリメントとして優れているのはNMNとNRのどちら?→まだ分からない。今後の実験結果が待たれる

結局、NMNとNRのどちらがサプリメントとして優秀なんでしょう?

摂取からNAD+が生成される時間、生成量が指標となるでしょうが、NMN人間に対する臨床試験の結果はまだ報告されていません。

一方でNRは人間が経口摂取すると、血液中のNAD+量が最大2.7倍になったという実験結果が報告されています。
NMNと比べると、一歩リードしていますね。
参考文献:Nat Commun . 2016 Oct 10. Samuel A J Trammell

しかし、残念ながらNRの

サプリメントは日本だとほとんど市場に出回っていません。

アメリカだとNMNとNRを両方含むサプリメントはありますが、NR単体のサプリメントはやはりほとんどありません。

Amazon.com “NMN & NR Supplement 125mg 60 Capsules NAD+ Boost,”

NMNに至っては人間が安全に摂取することができると報告されたのが2020年であり、2021年2月現在では各研究機関で実験が進められている段階です。

なので、現時点ではどちらが優秀かは決められません。
今後の実験報告が待たれます。

参考になるような実験結果が発表されたら、また記事としてまとめようと思います。

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